いくら大義があろうと

きょうは幕末の志士、「新撰組」副長 土方歳三（ひじかた としぞう、本名：義豊）の誕生日だ。
１８３５（天保６）年生誕〜１８６９（明治２）年逝去（３４歳）。

武蔵国多摩郡日野宿石田村(現 東京都日野市)の豪農 土方義諄（よしあつ）の６人兄弟末子として生まれた。父は歳三が生まれる前に死去、６歳の時に母 恵津も亡くなって、次兄 喜六夫妻に養育された。１１歳の時に江戸の呉服屋「松坂屋」に丁稚奉公に出るが長続きせず、九里（３６ｋｍ）の道を歩いて帰った。１７歳で大伝馬町の呉服屋に入ったが、女性問題でまたやめた。

石田散薬の行商をしながら、２５歳のとき小石川の剣術道場「試衛館」で天然理心流三代目 近藤周助邦武の門に入った。
ここで周助の養子で四代目の近藤勇と親しくなった。
１８６３（文久３）年２月に清川八郎が江戸で「京都防衛のため」壬生（みぶ）浪士隊を募集すると近藤と共にこれに参加。しかし清川は一行を京都まで連れて行くと、浪士隊の目的は「尊皇攘夷である」と言い出したため、空中分解。清川は江戸に戻り、のち暗殺された。

一方、京都に取り残された近藤や土方たちは京都守護職の会津藩主 松平容保（まつだいら かたもり）に願い出て、同年８月「新撰組」の名を拝命した。初代局長には芹沢鴨（せりざわ かも）が就任した。しかし芹沢は傍若無人の振る舞いがあり、９月１８日土方らにより粛正された。代わって近藤が２代目局長になった。この京都での近藤局長時代の新撰組が最も活動し、副長となった土方と共に、尊王攘夷派や倒幕派の武士たちを次々に殺害していった。

主な活動として、１８６３（文久３年８月１３日 大和屋焼き討ち、１８６４（元治元）年６月５日 池田屋で長州藩士ら１６名殺害（池田屋事件）、１８６６（慶応２）年９月１２日 三条大橋で土佐藩士を襲撃し２名殺害、１８６７（慶応３）年１２月７日 天満屋で海援隊と乱闘、などがある。
局中法度を徹底的に貫き、内部粛清に猛威を振るった。

新撰組は１８６８（慶応４）年１月１２日 軍艦冨士山丸に乗って江戸へ向かい、官軍に対抗しようとするが、局長の近藤勇は捕えられ江戸板橋で処刑、沖田総司も病死した。そこで土方が３代目局長に就任、会津にいったん集まった後、会津での戦いのため斎藤一らを置いて、残りは函館・五稜郭に移動。結局ここで幕府軍の最後の抵抗に参加した。

新撰組は快調な進撃をみせるが、やがて新政府軍による総攻撃が始まり、味方である幕府軍の降伏する気配が濃くなった。１８６９（明治２）年５月１１日、土方は松前表街道で軍を指揮中に一人官軍に飛び込んで腹部に銃弾を受け、壮烈な戦死を遂げた。組は相馬主計（そうま かずえ）が引き継いだ。

土方歳三は、舞台役者のような二枚目であり最後まで冷静で、かつ若くして亡くなっているため、そのファンも多い。しかし、いくら大義があろうと殺人集団の一員であり、心のむなしさは埋められなかったのではないか。

企業においても、人を将棋のコマのように動かし、あたかもカリスマ的な振る舞いをして満足している幹部もいる。人事においては、社員が最後に、「この会社で働くことができてよかった」と言えるような采配をしたいものだ。


土方歳三 辞世の句
　　「たとひ身は　蝦夷地の島根に　朽ちるとも　魂は東の　君や守らん」


土方歳三のＤＶＤ
　　土方歳三 白の軌跡 [DVD]
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土方歳三の本
　　人間 土方歳三―新選組副長秘め語り
　　土方歳三―知れば知るほど面白い・人物歴史丸ごとガイド
　　土方歳三
　　土方歳三―新選組の組織者 (KAWADE夢ムック)
　　土方歳三散華 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ)
　　土方歳三―熱情の士道、冷徹の剣 (歴史群像シリーズ (58))
　　土方歳三副長「トシさん」かく描かれき (ダ・ヴィンチ特別編集)
　　子孫が語る土方歳三