夢見て生きてきた       

隆慶一郎

きょうは時代脚本家であり小説家 隆慶一郎(りゅう けいいちろう、本名:池田一朗)の誕生日だ。1923(大正12)年生誕〜1989(昭和64)年逝去(66歳)。

東京都赤坂に生まれる。東京大学文学部仏文科卒。大学在学中に辰野隆小林秀雄に師事した。
学徒出陣するが、終戦後東大に復学、卒業した。

文芸評論家・小林秀雄を慕って「東京創元社」に入社し編集者となった。その後、立教大学仏語講師の後、中央大学仏語助教授になるが1957(昭和32)年34歳のとき退職し脚本家に転向、1959(昭和34)年36歳のとき、映画「にあんちゃん」でシナリオ作家協会賞を受賞した。
本名の池田一朗で映画、テレビのシナリオライターとして活躍。代表作に「陽の当たる坂道」「にあんちゃん」、日活アクション映画「錆びた鎖」、テレビドラマ「おりんさん」「鬼平犯科帳」など。
その後、1984(昭和59)年61歳のとき隆慶一郎の名でチャンバラとお色気が満載の『吉原御免状』を執筆、時代小説作家としてデビューした。

小説家になるのが遅かったのはなぜか。小説家になる前の前年の1983(昭和58)年3月、恩師の小林秀雄が80歳で亡くなった。そんなことから「怖かった存在の小林がいなくなったので小説を書きはじめた」と言われている。

時代小説の世界に彗星の如く現われ、以来それまでにない革新的な作品で人気をとり、作家として絶頂期にあったが、作家活動わずか5年で病気に倒れ1989(昭和64)年66歳で永眠。

代表作に、『かくれさと苦界行』『鬼麿斬人剣』『柳生非情剣』『一夢庵風流記』:(柴田連三郎賞受賞)『影武者 徳川家康』『死ぬことと見つけたり』『捨て童子・松平忠輝』『柳生刺客状』『花と火の帝』などがある。

彼は歴史学者の研究に関心をもち、小説の題材として社会や権力に一見組みされたように見えながら、実は独自の組織や思想を抱いてきた人々あるいはそうした世界を夢見て生きてきた人物を描いた。

隆慶一郎は、脚本家として優れていたが、61歳という年齢で小説家に転向し、この分野においても革新的な作品を残した。病気で亡くなり惜しまれたが、彼としては精一杯の仕事をして満足したに違いない。

人生においても、いつどのようなことがあるか誰もわからない。人との出会いを大切にし、少し先を考えながら、その時を精一杯生き、悔いのない日々を送ることが、人としてあるべき姿だ。


隆慶一郎のことば
  「疑って安全を保つより信じて裏切られる方が良い」
  「一瞬に咲き誇り、消え去れば二度と帰らない華麗な花火。
   それに全力を賭けるのを、私は粋だと思った」


隆慶一郎の映画今村昌平 DVD Collection にあんちゃん
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  錆びた鎖 [VHS]


隆慶一郎の本
  隆慶一郎全集〈第1巻〉:(第6巻)
  隆慶一郎 短篇全集
  隆慶一郎の世界
  歌う舟人―父隆慶一郎のこと
  隆慶一郎 男の「器量」―その熱き生涯に学ぶ (「超」読解講座)
隆慶一郎 男の「器量」―その熱き生涯に学ぶ (「超」読解講座)隆慶一郎の世界隆慶一郎 短篇全集