子どもと向き合う   

赤ちゃんを抱き上げるスポック博士

きょうはアメリカの平和運動家で小児科医『スポック博士の育児書』の ベンジャミン・スポック(Benjamin McLane Spock)の誕生日だ。1903年生誕〜1998年逝去(94歳)。

コネチカット州のニューヘブンに生まれた。エール大学で学んだ。エール大学ではボートチームの一員として活躍し、1924(昭和13)年パリ五輪での金メダル獲得に貢献した。その後、コロンビア大学医学部で学んだ。

1929(昭和4)年26歳のとき、コロンビア大学で医学博士号を取得した。ニューヨーク病院やコーネル医大で小児科・精神科の臨床と教育にたずさわった。小児科学を学ぶのに、子どものニーズと家族のダイナミズムを理解しようとした最初の小児科医とも言われる。
母親が子供にたっぷり愛情をそそぐ「スポック理論」を奨励した。海軍に従軍中の1946年に発刊された新生児と小児ケアについての著書、『スポック博士の育児書』は、歴史上最も知られるベストセラーの一つに数えられている。原著では「コモンセンスブック・オブ・チャイルドケア」、直訳すれば「子育ての常識の本」となっている。ほぼ10年ごとに改訂をくりかえし、30以上の言語に翻訳され、5000万部が売れるベストセラーとなり、世界中の家庭で常備薬的な存在となっている。

これは、それまでの育児書が常識を排し科学を重視してきたことに対する真っ向からの挑戦といえる。これまでの堅い育児書と異なり、児童心理から育児を考える、親切でわかりよいのが特徴で、母親へのその革新的なメッセージ、「あなたは、自分が知っていると思っているよりはるかに多くのことを知っているのです」は有名。

また「子どもは、一人ずつみんな違うし、親だって一人一人違うのが当たり前で、他の子どもと同じにいかないのが普通なのです。あなたの赤ちゃんを一番よく知っているのはあなたであって、あなたの赤ちゃんのことは、私は何一つ知らないのです」と言っている。

1963(昭和38)年〜1967(昭和42)年には正常な核政策のための全国委員会委員長を務め、放射能汚染を警告した。
ベトナム戦争介入に反対する平和運動の指導者となり、核実験に反対する市民運動などに参加した。

1972(昭和47)年69歳の時、左翼・人民党の候補者として大統領選に出馬したが敗戦した。1976(昭和51)年73歳の時にも、人民党・副大統領候補に指名されるが再び敗戦した。

スポック博士の本は、発刊当時は画期的なもので世の中の親がどれほど救われたかわからない。しかし今では、研究も進んで、本の内容が必ずしも正しいとは限らないどころか、間違いもあるようだ。
しかし、それこそ、スポック博士の言うように、人の言うことを鵜呑みにするのでなく、自分で考えて子どもと向き合うことが大切と言うことだ。

企業の場合も、多くのビジネス本や参考書があるが、結局は自分で判断するしかない。世の中は激変しているし、全くその通りに当てはまるとは限らない。
しかし、人の心はそれほど変わってはいないし、ほとんどの場合は、基本に忠実にやるのが最良の道である。


スポック博士のことば
  「こわがらず、じぶんの信念にしたがう」
  「あなたの常識で考えることが、いちばん正しい」
  「親は殉教者になってはならない」


スポック博士の本
  スポック博士の性教育―ティーンエイジャーのために
  最新版 スポック博士の育児書
  スポック博士 親ってなんだろう (新潮文庫)
  子育てを見直す―スポック、ギノット、シェリルに学ぶ (新教新書)
最新版 スポック博士の育児書