最後は勇気だ   

リンドバーグ

きょうはアメリカの飛行家、単独大西洋無着陸横断飛行 チャールズ・リンドバーグの誕生日だ。
1902年生誕〜1974年逝去(71歳)。
ミシガン州デトロイトで生まれる。父はスウェーデン系移民で下院議員で、母は化学教師だった。幼少時から機械への関心を示し、ウィスコンシン大学機械工学科へ入学するが中退、飛行学校に入学、曲芸飛行士になった。1924年22歳のとき、陸軍航空隊で飛行士としての訓練を始め、民間航空便パイロットとして働いた。
そして1927年25歳の時、懸賞金2万5千ドルの大西洋無着陸横断飛行に挑戦するため、セントルイスの事業家の資金援助で特別機を注文製造した。
5月20日から21日にかけて、単葉機「スピリット・オブ・セントルイス」号にひとりで乗り、ニューヨーク〜パリ間5800kmを33時間39分で飛び、大西洋無着陸横断飛行に成功した。
リンドバーグは一躍世界の英雄となり、「ローン・イーグル」「ラッキー・リンディ」といわれた。1929年5月27歳で、中南米親善飛行の途中知り合ったメキシコ駐在大使の娘、アン・モローと結婚した。アンは夫の副操縦士となって一緒に各地をデモ飛行してまわった。
リンドバーグ夫妻は1931年(昭和6年)29歳の時に、北太平洋経由で日本にも飛来し、翌年には、北極探検飛行を成し遂げている。
翌年、2歳弱の長男が誘拐、殺害されるという痛ましい事件に見舞われた。アメリカでは、この悲劇的な事件を機に、複数の州にまたがる誘拐を連邦犯罪として取り締まる「リンドバーグ法」が成立している。
息子を失った哀しみの中、彼は1935年から39年はヨーロッパで過ごした。フランスの医師A・カレルに協力し人工心肺の第一号機を開発、ドイツではナチス党のH・ゲーリングから、名誉勲章を授けられた。帰国後、アメリカの第2次世界大戦参戦を反対し、アメリカの伝統的な外交方針であった孤立主義、ヨーロッパ不介入を主張したため、親ナチスとして非難される。しかし第2次世界大戦後、准将に昇進し軍顧問として戦線に赴き、空中戦にも参加している。
1953年51歳の時、回想録「翼よあれがパリの灯だ」を出版し、1954年にピューリツァー賞を受賞した。アン夫人も「翼よ、北に」等で知られる作家である。
まさにアメリカン・スピリットという感じだ。頑張るだけの無謀な計画とは思えないが、いくら自信があっても人類が成し遂げたことの無い行為に挑戦しようとするわけだから、やはり最後は勇気だろう。
企業においても、存続をかけてとか、クビをかけて、とかは無きにしもあらずだが、冷静に考えて大胆に実行することが成功につながるようだ。悲観的に考えて、楽観的に行動するともいう。

★大西洋無着陸横断飛行★
 1927年5月20日午前7時52分、リンドバーグは「スピリット・オブ・セントルイス」に搭乗し、ニューヨークを離陸した。燃料積み込み重視と軽量化のため、非常用パラシュートも無し、サンドイッチ5個と1リットルの飲み水を携えただけで命がけだった。
 この当時、3機が大西洋無着陸横断飛行計画を立てていた。それぞれ高名な飛行士で副操縦士を同伴しており飛行機もまた高性能の三発機だったが、試験飛行の段階でことごとく失敗した。
リンドバーグは無名の青年で、飛行機は単発機で燃料を積むために無線機や燃料計も取り外してのチャレンジだった。副操縦士もおらず単独飛行を行うというこの計画は、多くのアメリカ人の失笑を買いばか者呼ばわりまでされる程だった。
 飛行距離5800km、33時間39分のフライトの末、翌21日の午後、「翼よあれがパリの灯だ」という名セリフとともに、パリのル・ブールジェ空港に着陸し、初の単独無着陸大西洋横断飛行に成功した。
 アメリカでは、国民的英雄が帰還するとき必ず行われるのがニューヨーク市ウォール街でのパレードだ。その際、高層ビルの窓から紙吹雪をまいて歓迎の意を表すのが伝統となっている。統計によると、1920年代第1次世界大戦の終了ムードの中で、大統領を招いての凱旋パレードが行われた時の紙吹雪の量は155トン、1960年代初めて宇宙空間を飛んで帰った宇宙飛行士のパレードでは1000トンだったが、リンドバーグの凱旋パレードでは1800トンという史上最大量の紙吹雪がまかれたという。



リンドバーグのことば
  「なんと大洋の美しいことよ!なんと大空の澄んでいることか!
    点のような太陽!何事が起ころうと、この瞬間 生きていることでたくさんだ」


リンドバーグのDVD
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リンドバーグの本
  翼よ、あれがパリの灯だ
  孤高の鷲〈上〉―リンドバーグ第二次大戦参戦記 (学研M文庫)
  孤高の鷲〈下〉―リンドバーグ第二次大戦参戦記 (学研M文庫)
  リンドバーグ―チャールズとアンの物語 (上)(下)

  翼よ、北に
  リンドバーグ〈上〉―空から来た男 (角川文庫)(下)

リンドバーグ〈上〉―空から来た男 (角川文庫)翼よ、北に









  
1800トンの紙吹雪       スピリット・オブ・セントルイス