人を思いやる気持ち   

森田正馬

きょうは精神医学者 森田正馬(もりたまさたけ 通称:しょうま)の誕生日だ。1874年生誕〜1938年逝去(64歳)。
高知県香美郡富家村兎田(ふけむらうさいだ)に生まれる。富家小学校、高知県尋常中学校(追手前高校)、熊本第五高等学校を経て、東京帝国大学医学部でわが国の精神医学の父といわれる呉秀三博士の門に入って精神医学を専攻し、1902年に卒業した。青年時代は仏教や東洋哲学に興味をもち、哲学者になりたいと考えたこともあるそうだ。
1903年慈恵医院専門学校教授、1925年より東京慈恵会医科大学教授として1937年まで在職し、辞任後同学名誉教授となった。その間、根岸病院医長、日本精神神経学会評議員、あるいは雑誌「神経質」の主幹として活躍し、日本の精神医学に新分野を開拓した。
1919年45歳頃より神経質者の家庭入院療法を行うようになり、現在「森田療法理論」といわれている神経衰弱及び強迫観念の日本独自の療法はこの頃に確立された。
博士自身が、青年時代に神経質症に悩んだ経験があり、それが神経質症状の本態を発見する契機となったといわれている。
医学というとどうしても怪我とかウィルスとかになりがちだが、精神面での病気も多く、これについて医者に必要とされるものは知識とか技術の前に、心理学とか哲学にあわせ、人を思いやる気持ちが無くてはいけないようだ。
企業においても、メンタルヘルスが問題になっている。
以前は「①ストレスから逃れましょう」だったが、「②ストレスを発散しましょう」になり、今では「③癒(いや)しましょう」が話題になっている。さらに最近では「④買って出ましょう」と、引き受けたら強くなるという逆の考え方もあり、これを「メンタルタフネス」というようだ。

森田療法理論★
「あるがまま」をキーワードにし、その要点は、悩み・不安を率直に認め、それに抵抗したり、あるいはごまかしたり、回避したりしないで、そのまま受け入れ、ハラハラ・ドキドキしながらも本来の目的に向かって建設的に行動することにある。
この理論の学習・実践を通して神経質症を乗り越えていけば、神経質症の性格のプラス面が大いに発揮されるようになり、より一層充実した生活をおくれるようになる。
創始当時はあまりにも画期的なこととして容易に受け入れられなかったが、多くの門下生の実践と治療実績によって次第に真価が認められていった。
いまではフロイト精神分析療法と並んで、世界的に高い評価を受けている。



森田正馬のことば
  「行動本位」
  「一波をもって一波を消さんと欲す。千波万波交々起こる」
  「人は、常にその全体を見逃すな・認識不足になるな・事実唯真である」
  「とらわれを離れれば非常に便利で、生活が自由自在になる」
  「ただ先へ先へと経験により、新しい体験と智識とを加えて行けばよい」
  「極楽と地獄とは、同一事件の表裏の見方である」
  「そもそも平常心というものは、するものではなくて、あるものである」


森田正馬の本
  神経質の本態と療法―森田療法を理解する必読の原典
  対人恐怖の治し方 (森田療法シリーズ)
  こころを楽にする生き方―森田正馬の哲学
  神経症の時代―わが内なる森田正馬
神経症の時代―わが内なる森田正馬こころを楽にする生き方―森田正馬の哲学対人恐怖の治し方 (森田療法シリーズ)神経質の本態と療法―森田療法を理解する必読の原典