単純構造であるほど

きょうはスウェーデンの化学者、ノーベル賞の提唱者　アルフレッド・ノーベルの命日だ。
１８３３年生誕〜１８９６年逝去（６３歳）。
父親の事業が破産したばかりのときに生まれた。父親は家族と別れロシアに行くがそこで興した事業が成功し、９歳の時父親の所へ行き、兄弟たちとともに学校には行かず著名な大学教授による英才教育を受けた。のちには父の事業を手伝うが、ここの仕事はロシア軍の機雷の製造だった。
やがてクリミア戦争により大儲けをするが、戦争終結と同時に事業はたちまち逼迫し、１８５９年に再び破産した。
彼は、１８５５年２２歳でニトログリセリンの情報を得て、起爆装置を開発、実用化し、ダイナマイトを発明した。１８６３年にスウェーデンで特許を得たのをはじめ１００件以上の特許をとった。彼はこれを工事現場での岩盤の破壊など作業の効率化用としたが、実際に最初に手がけた事業は武器製造であった。
彼は語学に堪能で、スウェーデン語・ロシア語・フランス語・英語・ドイツ語を自在に操り、世界各国で事業を拡大し、１５の爆薬工場を経営した。
ところがダイナマイトは戦争での人を殺す爆弾としても使われた。彼は武器商人や死の商人と呼ばれることに心を痛め、遺言に、莫大な財産を運用して科学などに貢献した人に賞金を与えるよう言い残した。
彼の意思はノーベル賞と名づけられ、ノーベル財団により運営されている。ノーベル賞は、何年も前から選考調査をしているようだ。世界中の専門家の推薦で２０００人ぐらい集め、それを１００人くらいにしぼり、秘密の調査員が実際に調べに行き、１０人くらいにした上で、専門家の会議で受章者を決めるそうだ。どんな人が候補になったのかは５０年間は秘密にされている。
ダイナマイトは、不安定で扱いにくいニトログリセリンを珪藻土に染み込ませただけの物であるが、考えればすぐわかるような単純構造であるほど大発明になることが多い。
改善の定石として「結合と分離」とか「集約と分散」というのがあるが、特にいろんなものの「組み合わせ」は、大きな発見やすばらしい商品につながることが少なくない。


ノーベルの本　　アルフレッド・ノーベル伝―ゾフィーへの218通の手紙から
　　　　　　　　　　学習漫画 世界の伝記 ノーベル ダイナマイトの発明者