ひどく人間が小さい   

pract2004-11-25

きょうはスコットランド生まれでアメリカへ移民し鉄鋼業で   大成功した実業家 アンドリュー・カーネギーの誕生日だ。  1835年生誕〜1919年逝去(83歳)。
スコットランドで生まれ、13歳のとき一家でアメリカへ渡る。父親が事業に失敗し、木綿工場で週給1ドル20セントの糸巻き少年として働くという非常に貧しい生活をしていた。次々と職を変え誠実で前向きな性格から出世もしたが、鉄道の仕事をしていた時、木製の橋が火事で燃えるのを見て、これからは鉄の橋だと将来を見通し、27歳で鉄橋をつくる会社を創業した。
この事業は大いに成功し鉄鋼会社に育てあげアメリカの鉄鋼生産の25%を支配し、世界の鉄鋼王となった。鉄鋼で成功を修めた後、彼は金の亡者になっている自分に気づき、66歳で引退した。
鉄鋼会社を売却し、1億ドルを投じてカーネギー財団を設立、大学や音楽堂を作った。また何千もの図書館をアメリカだけでなく全世界の国々に寄付し、「図書館の聖なる後援者」とも呼ばれている。
彼は鉄鋼の巨大プラントを完成させ、競争企業を蹴落とし鉄鋼王に君臨した。大量生産により低価格だったが、低賃金、長時間労働によるものでもあった。賃金の引き下げをきっかけに労働争議が起き、警官隊が出動したが争議は収まらず州兵が動員された。負傷者、死者が多数出て、彼の名は労働者を弾圧する資本家として知れ渡るようになった。
後半生は蓄えた莫大な資産を慈善事業、社会福祉に使ったことにより、アメリカでは「冷酷な資本家」と言うより「慈善家」のイメージが強いようだ。
彼の人生は「貧乏から金持ちへ」のアメリカンドリームそのものだったが、彼にとって後半生は罪滅ぼしであったのかもしれない。
事業というのは奇麗事ばかりでは成り立たないと思われるが、間違いは間違いとして認めきちんと償いをしたり、それを許すアメリカ人の考え方は見習うべきものがある。
わが日本ではアメリカンドリーム的に膨大なお金を得ることは難しいが、それを人類のために還元する人も少ないようだ。苦労してこつこつと貯めたお金はなかなか手放せないのだろうが、欧米の人に比べてひどく人間が小さいようで寂しい気がする。稼げない者のひがみだろうか。


カーネギーのことば
   「金持ちのまま死ぬのは恥である」
   「すべての成功、すべての巨富は、まずアイデアから始まる。」
   「あらゆる改善をし、なすべき仕事を完璧にせよ!」
 
カーネギーの本  富の福音
           カーネギー自伝 (中公文庫BIBLIO)カーネギー自伝 (中公文庫BIBLIO)