会話ができる距離   

ファン・デル・ワールス

きょうはオランダの物理学者 ヨハネス・ディーデリク・ファン・デル・ワールスの誕生日だ。1837年生誕〜1923年逝去(85歳)。
オランダのライデンに生まれ、独学で物理学などの科学知識を学んだ。27歳の時中学校の教師、40歳でアムステルダム大学の物理学教授となり、ここで30年間物理の研究を続けた。気体と液体との状態についての論文で分子間力を分子論的に考察し、この力はのちにファン・デル・ワールス力といわれる。
また理想気体の状態式を修正して実在気体にも適用できる式を発表したり、表面張力の研究、熱力学ポテンシャルを運動論の研究により、ノーベル物理学賞を受賞した。

ヤモリが壁や天井などを落ちることなく歩けるのは、ロッククライマーのように凹凸に手足を引っかけたり、ガラスのようなツルツルの面では指先がタコの吸盤のようになってくっつくと考えるのが普通だ。
しかし実際には指先に生えた非常に細い毛と壁との引力でくっついているようだ。 この毛はヒトの髪の毛の10分の1の太さで、さらに先が数百に枝分かれし0.2〜0.5μm程度になっていて、この毛が壁に近づくと、毛の先と壁の表面に「ファンデルワールス力」が発生する。この力は微小だが毛が非常にたくさんあるので、1本の毛で約0.08g、4本の足の合計で40kgもの吸着力になるそうだ。
しかも毛1本ずつの吸着力は微小なので、足を上げることも簡単で、俊敏な動きができるということだ。   

人間関係も、もともとは近づくにしたがって強くなるはずだが、気持ちで抑制して遠ざけている場合が多いのではないか。もっと近づいて会話ができる距離になれば心が通う付き合いができるはずだ。
ただし一般社会においてヒソヒソ話をする距離は、近づき過ぎだから気を付けなくてはいけない。