存続に大きな意味  

DNAデオキシリボ核酸

きょうは生化学者 江上不二夫の誕生日だ。1910年生誕〜1982年逝去(71歳)。
小学校時代は大変虚弱で、遠足の時歩けなくなって女の子におんぶされて山に登ったこともあったそうだ。大学卒業後フランス留学を経て名古屋大学東京大学教授の頃はエネルギーの塊のように元気だったようだ。三菱化成生命科学研究所所長、日本学術会議会長、国際生命の起源学会会長を歴任した。硝酸呼吸の研究、核酸の構造研究、生命の起源の研究などで功績をあげ、「生命科学」を提唱しおし進めた。
かなり左よりの思想を持っていて、ふだんの会話でも強引に自説を主張したようだが、個々の人生観を尊重し人を思いやる気持ちも強かったようだ。
各種の学会の会長も一期だけ務めて二期目からは後進に譲ったり、三菱化成生命科学研究所所長をしたのも理学部出身の研究者の働く場所を作るためだったようだ。
核酸の一種であるデオキシリボ核酸いわゆるDNAは遺伝子の本体であり、互いにねじれあって二重らせん構造をなしている。すべての地球上生物の出発点であるDNAは、DNA鑑定、遺伝子組換え食品、遺伝子治療、DNAチップ、DNAコンピュータなど、いまやDNAに関する技術は現代人のものの考え方や生活に深くかかわってきており、将来的にもより幅広い領域で大きな意味を持ち続けるはずだ。
人のDNAの研究も進んでいるが、扱い方を一歩間違えると人類にとって取り返しのつかない過ちを犯す可能性もある。科学の扱い方を誤った原子爆弾の二の舞はしてはならない。
「生命とは何か」「人間とは何か」「自己とは何か」、これらの問題について日頃から良く考えた行動をしなくてはいけない。
企業のDNAという考え方があるが、社風のようなもので時間をかけてじっくりと作り上げていく必要がある。これは簡単に数字で表すことはできないが、企業の存続に大きな意味を持つものであり、経営者はこれを作り上げていくことが大きな使命だ。


江上不二夫のことば 「人が面白いと言うことや、今 面白いことはやるな。
             自分で考えたテーマを面白くせよ」


江上不二夫の本  二重らせん (講談社文庫)二重らせん (講談社文庫)
            生命を探る (岩波新書 黄版 112)