細かいことでもこつこつと  

NewLanarkの工場(世界遺産)

きょうはイギリスの社会思想家で協同組合主義の創始者 ロバート・オウエンの命日だ。1771年生誕〜1858年逝去(87歳)。
10歳のとき英国最大の紡績工場へ徒弟で入り、努力して総支配人にまで栄進したあと、蓄積した資金で彼の労働に対する考え方でNewLanarkに紡績工場を作った。
工場で働く労働者の過酷な労働条件を自ら徒弟として体験し、劣悪な労働条件が労働者を道徳的に退廃させ、その結果生産性が低下するという考えを持っていたようだ。労働者の子供たちの教育のために工場内に学校や組合を作り、労働者の福利厚生や労働環境の改善を図った。また幼児を預かる幼稚園や夜間学校も作ったようだ。
産業革命の真っ只中、労働者の劣悪な労働環境の改善を国家に働きかけ、1819年に労働者保護立法である工場法を制定させ、9才未満労働禁止、16才未満の1日12時間以上労働と夜業の禁止をさせた。さらに1833年に工場監督官制度を設け規定が実効性を持つようになった。
国は企業家の競争に対して自由放任こそ産業革命の原理と考えていたが、その発展の陰で婦女子や少年が劣悪な環境と低賃金の中で、一日16時間の重労働をさせられていた。産業革命は、資本家層の私利を大きくした反面、労働者階級の福祉を損ない、労使の対立が激しくなっていった。
彼は1825年、全財産を注ぎ込みアメリカに完全自給自足、完全平等を目指す協同社会ニューハーモニー村を建設するが、理想と現実の乖離により4年で破綻した。彼が、理想的社会主義者と呼ばれるのはこのためである。
しかし彼の考え方は1919年に誕生した国際労働機関(ILO)に引き継がれることになる。
作業改善は直接的に生産性をあげるばかりでなく、安全性や作業性が向上することにより、作業に集中力が生まれやる気が向上するので、結果として大きく利益につながる改善となる。
改善は、いきなり大きな成果を狙うのでなく、細かいことでもこつこつとやる姿勢が重要だ。


オーウェンのことば 「人間は環境によって変えられる」 


オーウェンの本 オウエンのユートピアと共生社会 (MINERVA現代経済学叢書)オウエンのユートピアと共生社会 (MINERVA現代経済学叢書)
          オウエン自叙伝 (岩波文庫 白 108-2)
          ロバート・オウエン (イギリス思想叢書)
          ロバアト・オウエンと近代社会主義
          ロバアト・オウエンと協同組合運動