人の心を豊かに   

駒鳥(こまどり)ヒン・カラカラカラ

きょうは詩人で日本野鳥の会を創設した 中西悟堂(ごどう 幼名 富嗣)の誕生日だ。 1895年生誕〜1984年逝去(89歳)。

金沢市に生まれ、16歳のとき天台宗の僧籍に入り悟堂と改名した。1934年日本野鳥の会を設立し機関誌「野鳥」を創刊、鳥類の分布調査と愛護により野鳥研究の権威となった。彼は、野の鳥の生きざまをありのままに見て、姿や声を愛でるという野外観察を提唱し、今日行われている科学的な野鳥の観察方法も開発したようだ。「野鳥」とか「探鳥」という言葉も彼がつくった。
そもそも野鳥の研究をしようとした動機は、彼の文学が本能にかけると評され出版を見送られたことによるらしく、人間性と本能との関係を突き詰めようとして、本来愛好している昆虫と鳥類とを全生命を傾けて研究しようと考えたようだ。結果として彼は「野鳥文学」の創始者となった。
小鳥は敏感で、愛情をもって近づく人間には、何らの警戒心ももたずに親しみ、悪意を抱くものはこれを観破して警戒しまたは敵意をさえ示すようだ。人間がいじめなかったら野の小鳥はもっともっと自由に飛び、そしてかわいい姿や美しい鳴き声で人の心を豊かにしてくれるはずだ。
人間関係において考えるなら、弱い立場の人を意識的にまたは無意識に軽視する場合があるが、もっとやさしく接することができるなら、お互いに心豊かな生活ができるのではないか。


中西悟堂の本  愛鳥自伝〈上〉 (平凡社ライブラリー) 愛鳥自伝〈下〉 (平凡社ライブラリー)愛鳥自伝〈上〉 (平凡社ライブラリー)
           悟堂追憶         



  
  富士までに
   およぶ雲海ひらけつつ
    大見晴らしの朝鳥のこえ
             悟堂