ウソはばれてしまう   

流線型の機関車

きょうはアメリカの工業デザイナー レイモンド・ローウィの誕生日だ。1893年生誕〜1986年逝去(92歳)。
彼は「口紅から機関車まで」というキャッチフレーズを冠されるように、日用品から工業機械に至る様々な分野のデザインを手がけた「二十世紀デザインの旗手」だ。
彼はデザインの基本思想を総括してMAYA(Most Advanced Yet Acceptable 最も進んでいて、しかも受け入れられる)と表現した。いかにすぐれたデザインであっても、消費者やメーカーが受け入れられる限度を超えた押し付けをしてはならない、ということだ。
また、あらゆるモノには経済性と優美さを失わずにその機能を表現する理想的な形がある、という信念のデザインだった。無駄な装飾を排除し、単純な色彩を用いた製品こそ美しく、低コストな製品を産み出すという徹底した機能主義の立場を貫き、デザインと商品価値とのつながりをはじめて理解したデザイナーだった。
最近の商品は、デザインの考え方を誤っていると思われるものがたくさんあり、機能よりデザインを優先しているものが氾濫している。ローウィが見たらどう思うだろうか。
仕事についても同様で、机の上や工具箱はきれいだが中を見ればメチャクチャであったり、見栄えは非常にいいが内容が薄く理解しにくい文書も多いようだ。
やはりデザインは、その人とか企業の「仕事に対する考え方が形に出たもの」であり、機能が伴っていなくてはならない。お客様の目は簡単に騙せるものではなく、ウソはばれてしまう。見かけ倒しになるのが、最終的には最もコストアップになるのだ。
  
ローウィのことば 「美しくシンプルなデザインは長持ちする」
ローウィの本
  口紅から機関車まで―インダストリアル・デザイナーの個人的記録