とことん打ち込む   

開高健

きょうは小説家 開高健(かいこうたけし)の誕生日だ。
1930年生誕〜1989年逝去(68歳)。
大阪市の下町に生まれる。13歳の時勤労動員に借り出された。この頃から読書にめざめ一ヶ月に50冊読んでいたという。大阪市立大学法学科に入学後、同人誌により文学の道を見つける。1953年23歳のとき、エッセイストでもある牧羊子と「できちゃった結婚」。
1954年、寿屋(現サントリー)に入社した。宣伝課に配属され、柳原良平氏と「トリス文化」を演出。1956年に、あの伝説のフリペ「洋酒天国」を創刊し、以後1958年刊の第22号まで編集長を務めた。
勤務を続けながら、新日本文学に「パニック」を発表し注目された。28歳の時、組織と人間の問題を描いた「裸の王様」で第38回芥川賞を受賞した。ここでサラリーマン生活をやめた。
反戦運動をしている中で、ベトナム戦争朝日新聞社臨時海外特派員としてカメラマン秋元啓一と同行、その体験を生かしてルポルタージュベトナム戦記」、長編「輝ける闇」を発表した。
また釣魚に関するルポルタージュも多く、アメリカ大陸縦断の釣記「もっと遠く!もっと広く!」ブラジルでの「オーパ!」など趣味人としても有名で、その一連の業績により、菊池寛賞を受賞している。
また小説家・随筆家・ルポライター・コピーライター・釣り師、そして”食徒”と、従来の日本文学の枠を超えた行動派作家で、幾多の顔を持つ文化人だった。常に人間の原点と社会の組織に目を向け、現代社会と取り組むエネルギッシュな作家的姿勢を一貫した人であった。
彼はいくつもの顔を持つ人であるが、現実社会に疑問を持ちながらも自分ひとりの力ではどうしようもない気持ちを、いろんな分野にとことん打ち込むことで紛らわしていたのではないか。
それをそのまま活字にしたのだから訴えるものは大きい。
会社の仕事においても、自分の思うようにいかないことが多いものだが、そこであきらめて開き直るよりも、今の仕事を究めてみるという考え方ができれば、新しい展開が待っていることが多い。やらなければ堕落するだけだ。


開高健のことば
  「地域文化の発展は心におもりをとりもどす」
  「情熱は暗い迷妄だ」
  「悠々として急げ」
  「腹のことを考えない人は頭のことも考えない」

         
開高健の本
  裸の王様・流亡記 (角川文庫)
  ベトナム戦記 (朝日文庫)ベトナム戦記 (朝日文庫)
  オーパ! (集英社文庫)オーパ! (集英社文庫)
  開高健のいる風景開高健のいる風景