心の底から元気が   

パブロ・カザルス

きょうはスペインのチェロ奏者 パブロ・カザルスの誕生日だ。
1876年生誕〜1973年逝去(96歳)。
スペイン カタロニア地方のヴェンドレルに生まれ、11歳でチェロを始め、バルセロナ市立音楽学校でホセ・ガルシアに師事した。この頃、チェロの奏法に不合理を感じ奏法の改善に取り組んでいる。それまでは弓を持っている右手をチェロの胴体の脇腹にぴったりつけて弾くのが常識だったが、これでは自由に弓を動かすことができないと考え、ひじを柔らかく使う現在のボーイング法を考案した。
彼が13歳の時のエピソード。大作曲家サン・サーンスがリサイタルのためにバルセロナを訪れ、コンサートのあとカザルスを紹介され、「自分の作曲したイ短調協奏曲を知っているか」と尋ねた。カザルスは「演奏は聴いたことがないけど、一人でさらってみたことはある」と答えると、サン・サーンスは「それは一番いい方法だね」と言って、ピアノでカザルスの伴奏をした。
演奏が終わると、「この協奏曲に関してはこれまで聴いた中で最高のものだ」と言い、カザルスを抱きしめたそうだ。
その後、スペイン王室の奨学金を得てマドリード音楽院で研鑽を積み、23歳のときパリでラムルー管弦楽団と共演し、プロ・デビューした。
彼はチェロという楽器の表現力を拡大した音楽家で、「弓の王」と呼ばれている。それまでは練習曲と思われていたバッハの「無伴奏チェロ組曲」を豊かな表情と深い共感をもって弾きこなし、名曲の地位に引き上げたのも彼の功績だ。
1936年60歳のときスペインでクーデターが起こった。彼はフランコ総統による独裁政権に反対し、南フランスのプラドに身を寄せた。ここでカタロニア民謡をアレンジした「鳥の歌」を初めて演奏している。
1957年80歳で60歳年下のマルタ・モンタニェスと結婚した。
1971年国連平和デーの記念音楽会で「国連賛歌」を初演、続いて「鳥の歌」を演奏し、その様子が全世界にテレビ中継された。その2年後、プエルトリコのサンフアンで永眠した。
楽器に格の上下があるとは思えないが、一般的に知られているかどうかは確実にある。彼はチェロの存在を大きくアピールし、チェロの曲やチェロ奏者を格上げしたことは確かだ。暗い感じの音だが、聴いているうちに心の底から元気が出てくるような気持ちになってくるから不思議だ。
会社にも、一見暗い感じの人でも、話しているとだんだん温かみを感じて幸せな気分になるような人がいる。
こんな人は大切にしたいし、自分もなれるように努力したい。


カザルスのことば
  「カタロニアの小鳥たちはピース、ピースと鳴きます」


カザルスのCD、DVD
  バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲) CDバッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)
  鳥の歌~ホワイトハウス・コンサート CD
  パブロ・カザルスの芸術 CD
  パブロ・カザルス イン プエルトリコ [DVD] DVD






カザルスの本
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  4分間の第九交響曲 カザルスの果たされた夢4分間の第九交響曲 カザルスの果たされた夢
  パブロ・カザルス 鳥の歌 (ちくま文庫)パブロ・カザルス 鳥の歌 (ちくま文庫)